昭和元禄落語心中

おすすめ度★★★★☆
~あらすじ~
舞台は昭和50年代頃。落語が絶頂期を過ぎ、テレビや漫才ブームに圧されていた時代。刑務所帰りの元チンピラ・強次は、1年前に慰問で訪れた八代目有楽亭八雲演じる落語『死神』を聞いて感動し、出所後そのまま八雲が出演している寄席に押しかけて弟子入りを申し出る。それまで「弟子は取らない」と言ってきた八雲だが、彼なりの考えで強次は付き人として行動を共にすることを許され、与太郎の名を与えられる。八雲の家に住み込むことになった与太郎は、八雲の養女・小夏と出会い、彼女の実父で早逝したかつての天才落語家・二代目有楽亭助六の 芸風を気に入り、自らの芸に取り入れ精進するが、同時に助六の死と八雲、小夏にまつわる因縁の一端を徐々に知ることとなる。ある日与太郎は八雲の独演会で 舞台の袖で居眠りしてしまい、激怒した八雲に破門されてしまう。雪の積もる夜、小夏立ち合いの下で必死に復帰を願い出る与太郎に対し、八雲は「破門しない 代わりに三つの約束を守ること」を彼に命じ、自身と助六についての長い昔語りを始めた。

三代目有楽亭助六(与太郎)

『いいんだよ。おいら、もうねぇから。なんもねぇからあそこに行くんだ。』
『目なんか瞑ってる暇はねぇ。見ろよあのしぐさ。あの目。どんどん引き込まれる。何ににも見えてきてきて、師匠なんんだか誰なんだか分かんなくなってくる』
『頼む!!!俺をあんたの落語の側にいさせてくれっ!!!!』
『姉さん!おいらその子の父親になれねぇか!!!!』
『今ね、オイラ思いつきで喋ってるよ。姉さんにとっておいらなんか虫けら以下だし、二目の分際でほざく資格もねぇ。正直先は何も見えねぇ。けど今、この足りねぇ頭で考えられる最善の策だ。そっからだって案外夫婦なんてのはなってみればなれるモンじゃねぇの?』
『それに人間なんてのは名前に合わせていくらでも変われますよ!』
『助六を継がせてください。』
八代目有楽亭八雲(菊比古)

『助六と約束して果たせなかったことがある。2人で落語の生き残る道を作ろうってね。どっちが1人欠けたって出来ないことなんだ。だからこの穴埋めておくれ』
『お前さんの全部込めてな、くだらない落語聞かせてやんなよ』
『落語が嫌いになりかけていたのは信さんがいたからですが 落語がどんどん好きになったのも信さんのおかげでした』
『この人の見つめる先はいつも明るい。そして正しい。あたしはその時心底そう思いました。そしてあたしもおんなじ方を見ていればおのずと自分の行く道も見える。そう確信したのでございます。』
『ああ、わかった。あたしの落語は誰のためでもねぇ。てめえのためにやってたんだ。てめえの居場所をこさえるため。ここにいても大丈夫だと思うため。自分が自分でいるため』
『信さんとならどこへ行っても退屈しなさそうだ』
『お前さんといると何でも楽しいし新しいことも目に入ぇるし何でも分かち合いたくなる。ずっと側でお前さんの落語を聞いてられりゃね。そんな楽なことはないだろうよ。でもそれじゃテメェの落語と向き合えない』
『お前さんは1人でも生きられるしなやかさを身に着けないと。人に依存してばかりじゃ相手がいなくなったときダメになっちまう。これからはそういう時代がくる。男も女も自分のために生きる時代だ。』
『あたしは何がどうなろうとテメェの落語が出来ればいいんです』
『何をしてもいいよ。けど、落語だけは辞めるな』
『子供のじぶんからずっと側で聞かされて真似して目指して出来なくて諦めて、羨ましくて羨ましくて、嫉妬でこがれたこともあった。大嫌いになって否定したこともあった。けどあるときふと大好きだったこともあった。辛い事があったらお前さんの落語を聞きたくなった。いいのも悪いのもあらゆる情をお前さんの落語から貰ったんだ。だからなくなったら困るんだよ。あたしの落語のために。』
信さんと菊さんは互いに高めあってた存在だと思う。
『お前さんに嫌気がさそうが知ったことか。落語会でもお客のためでもねぇんだよ。あたしのためにやれって言ってんだ』
『人ってのは全てわかりあえるわけがない。それでも人は共に暮らす。取るにたらないせんないことをただ分け合うのが好きな生き物なんだ。だから人は1人にならないんじゃないか』
その通りだと思う。
『あたしの名は有楽亭八雲。本当の名などとおに忘れました』
『なあ。何か喋りやがれ。噺家だろ。その顔は何かい。老いぼれを笑ってんのかい。それともそれは怒ってるってぇのかい。娘をあんな風にしたことを。落語をこんな風にしちまったことを。』
泣きました。1人残されて、辛っただろうね。信さんに託されたことずっと残ってたと思うし、(与太郎が来るまで)1人で頑張ってきたと思う。
小夏

『好きなんだ。何が悪い』
『女になんか生まれたくなかった。これじゃいつまでもあいつを見返せない』
『嬉しい?落語百隻覚えたもんね。あのおっさん閻魔様みたいに厳しいし酒も遊びも止められて二つ目になったって身の自由なんて一切なかったね』
『与太公、祝杯あげよ。お茶入れてよ!』
『いいの。しないよ、結婚なんて。わたしの性格じゃ、きっと向いてない。でも、どうしても、子供だけは欲しかったんだ。助六の血を絶やしたくない』
小夏は本当にお父さんが好きだったんだね。
二代目有楽亭助六(信さん/初太郎)

『おめぇな、ぼんやりしてるとすぐ死ぬぞ。子供なんてのは1人になったら頭使わねぇと。おめぇさんも捨てられたんだろ。何があったかわからねぇけど辛いよなぁ。この歳で1人放りだされるなんてのは』
『こんなご時世だからこそ絶対に落語を残してやらなきゃならねぇぞ。寄席には客が不入り続きだ。噺家になるやつがいねぇのもわかる。明日のおまんまも手に 入らねぇのに。みんな生きるのに必死でよ。でもよ、腹いっぱいになりぁまたみんな寄席に戻ってきてくれる。俺は絶対そうなるって信じてるよ』
『俺はな、何度も満州で死線越えて来ただろ。何べんも死にかけたけど兵隊さんに落語を聞かせてやると心底喜んでくれんだ。前線にはラジオもねぇし娯楽に飢えきってるから大歓迎してくれんだよ。今日みたいな顔でな。俺はあの顔がでぇ好きだよ。そんで俺は決めたんだ。人のために落語をやるって』
人のために落語をやる、信さんの信念は素晴らしい。
『八雲の名前だきゃぁ坊にだって譲れねぇ』
『出来ねぇのを人のせいにするんじゃねぇ。人がいなきゃ落語は出来ねぇぜ』
かっこいい台詞‥‥。
『ただ、俺は落語が好きなだけだ。それだけで落語をやってる。それだけだ』
『見ろ。戦争が終わって日本は何もかもが変わっちまった。なのに落語は1つも変わらねぇんだ。この人気に甘えてむしろ変化を恐れてるよ。今はいいよ。けどな長く人の娯楽であり続けるにゃそれじゃあダメなんだ』
戦前もそうだったけど信さんの世間と落語の未来を読む力はすごい。
『世の中に溢れかえってる娯楽の中で落語がちゃーんと生き残る道を作ってやりたいんだよ』
信さんの落語に対する熱い想い。しびれた。
『求められなきゃ終わりなんだよ』
『落語は1人でなんて絶対に出来ないよ。客がちゃんと欲しがってくれてきっかり丁度の多すぎねぇ少なすぎねぇわりをくれて、それに丁度良く見合うとっびきりのいい芸を返してお互い気持ちよく取引するんだ。それには客の姿が見えてねぇと落語なんて出来ねぇからな』
『落語は人が語らすったぁこういうこった。客がよけりゃ必然いい落語になるもんだ』
『落語は人間がいなきゃ出来ないんだ。俺はもうあれで十分だ。ありがとう』
『お前の代わりに俺がついていってやるよ。こいつ1人地獄には落とせねぇ』
みよ吉

『どうして?わたし好きよあなたの落語。あなた魅力的だし喋ってる姿がとっても綺麗だもの』
『恋ってそうゆうもんよ。わたし菊さんのためならなんだって我慢するわ』
恋の力ってすごい。
『1人は二度といや。お金も何にもいらないの。あんた達みたいに一生かけたい仕事なんていらない。女として心から好きな人をずーっと側で支えたいの。女にしか出来ないことよ』
女の幸せって何なのか考えさせられる。
『わたし求められればいくらでも変われるよ』
七代目有楽亭八雲

『色気ってのは隙から生まれるんだ。完璧なものに色気はささせねぇ。隙ってのは余裕とも取れるな。それぐれぇの愛嬌があって、ああ、いい落語だなって思うもんなんだよ』
この台詞には納得。
『精進してたら遊べねぇだろ。おめえさんはまだ自分の落語ってのを見つけてねぇんだ。あたしや兄弟子、ましてや助六みたいにあろうなんざ思わなくていいんだよ』
『有楽亭総家の重みをしっかりと受け止められる度量がいるんだ。私にゃついに支えきれなかった』
『到底名前に勝てないという思い。それが一生ついて回るんだ』
『落語はみんなで守るもんなんだ。人の輪が何より大事なんだよ。口伝えでご先祖様が代々受け継いでくださったんだ。それを何の見返りもなく若い者に伝える。美しいじゃないか。それが輪ってもんなんだよ』

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